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投資用不動産の「相続税対策」見直しへ?政府が節税抑制の検討を開始

2025年12月06日

投資用不動産の「相続税対策」見直しへ?政府が節税抑制の検討を開始

こんにちは。
今回は、最近報道された「投資用不動産と相続税」についてご紹介します。

ニュースでは、投資用不動産を使った相続税の節税対策について、政府がルールの見直しを検討し始めたと報じられました。

これまで、不動産を活用した相続税対策は多くの方に利用されてきましたが、今後は考え方が変わる可能性があります。

現状の相続評価

 投資用不動産を使った相続税対策は、これまで法律上は違法とされてきませんでした。

 しかし近年、次のような問題点が指摘されるようになっています。


 まず大きな課題として挙げられるのが、「相続する財産の種類によって税負担に大きな差が生じている」という点です。


 例えば、同じ1億円の財産を相続するとしても、その内容によって評価額が大きく変わります。


1.現金や預金で相続する場合


 ・評価額は、ほぼそのまま1億円となります。


2.投資用マンションを相続する場合
 
 2-1.土地や建物の評価 
 

 ・土地は、国税庁が定める「路線価」や「倍率方式」に基づいて評価されます。一般的に、路線価は公示地価のおおよそ80%程度が目安とされています。

 ・建物は、市町村が決める「固定資産税評価額」を基準に計算され、通常は実際の建築費の50〜70%ほどになるケースが一般的です。


 2-2.賃貸に出すことで生じる評価の引き下げ
 
  ・土地を賃貸に出している場合は、借地権など、借り手側の権利が考慮されるため、評価額がさらに下がります。

 ・賃貸中の建物についても、入居者が持つ借家権が考慮され、全国一律で30%が控除されます。


 理由は、賃貸物件は所有者が自由に処分しにくいという事情があるため、自用の場合より評価額が下がりやすくなります。


 2-3.小規模宅地等の特例の利用による評価の引き下げ


 相続した不動産が一定の条件を満たす場合、「小規模宅地等の特例」などを利用することで、相続税評価額を大きく減らせる可能性があります。


 ・自宅用地(特定居住用宅地)なら、条件を満たせば 330㎡までの部分について評価額を80%減額。

 ・賃貸用の土地(貸付事業用宅地)でも、基準を満たせば 200㎡までの部分について評価額を50%減額。


 これらの特例や評価方法によって、投資用不動産を相続した場合は、現金などと比べて大幅に評価額が引き下げられやすく、その結果、相続税の負担が小さくなるケースが多く見られました。


政府が検討している「ルール見直し」の方向性

 相続の直前に、悪用し、多額の借入をして短期間で収益物件を購入し、相続財産の評価額を意図的に下げようとする動きが見られ、こうした行為は制度本来の趣旨から外れた「過度な節税」ではないかという指摘もあります。


 現在、政府が検討している見直し案では、路線価などを参考にしてきたが、実際の購入価格をもとに評価する方法に変えるよう検討を進めていくようです。


 報道によれば、この新しい評価手法がすべての不動産に適用されるわけではなく、相続前5年以内に取得した物件が対象となる見込みです。具体的には、地価の動向や取引時期などを踏まえたうえで、実際の購入価格の8割を評価額とする方向で検討されているとのことです。

これからの相続対策は「節税ありき」ではなく「総合対策」へ

 今回の制度見直しが示しているのは、これまでのように「不動産=節税のためのアイテム」と捉える発想が転換点を迎えているいるのではないのでしょうか。


これからは、


 ・不動産そのものの収益力や資産価値

 ・借入に伴うリスク

 ・相続後に家族へかかる手間や管理負担

 ・納税資金をどう確保するか


といった要素を総合的に踏まえた相続対策が求められるようになるのではないのでしょうか。
 

 相続税をできるだけ減らすことだけを目指すのではなく、「ご家族が困らず、安心して相続を迎えられるか」が、今後はより重要な視点になっていくのではないでしょうか。

 土地活用については、立場や状況は人それぞれ異なりますので、無理に一人で判断せず、早めに計画を立て、専門家の意見を聞きながら進めていくと安心ではないでしょうか。


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